2019年12月27日(金) 二学期終業式

 12月27日(金)二学期終業式がありました。校長講話では以下のような話をしました。途中、子どもたちに考えを聞くと、たくさんの子どもたちが手を挙げました。時間の都合で学年一人ずつしか発表してもらえませんでしたが、自分の考えをしっかり持ち、伝えようとするその姿から、子どもたちの成長を実感し、大変うれしく思いました。

   

  二学期終業式の話 「心を磨く」

 本日で、二学期が終了します。83日間、たくさんのことを学ぶことができたと思います。そして、令和元年もあと4日で終わりです。年末と言えば、大掃除。一年で積もり積もったほこりやごみをきれいにして、新年を迎えたいものです。 

 ところで、本原小学校の掃除といえば、美化委員会の皆さんが無言清掃を呼びかけてくれ、黙ってしっかり掃除に取り組む人が増えてきました。一部ですが、紹介します。(写真を紹介)紹介できなかった皆さんも、たくさんの人が掃除をがんばっています。    

 では、質問します。どうして本原小では、黙って掃除をするのでしょうか。考えのある人に発言してもらいましょう。考えのある人は手を挙げてください。

 発言してくれた人の考えのように、黙って掃除をすることには何か意味がありそうですね。一緒に考えてみましょう。

 話は変わりますが、このマークの会社、何という会社でしょう。知っている人は言って下さい。はい、イエローハットです。車用品を扱っている会社です。

 この方は、イエローハットの創業者の鍵山秀三郎(かぎやまひでさぶろう)さんです。イエローハットの会社をつくった人、その時の社長さんです。今は従業員が3600人を越す大きな会社ですが、イエローハットの社員さんがまだ5・6名だった頃の話を紹介します。

 自動車部品業界には荒々しい人が多くいて、営業にいった社員の方が「二度と来るな」と水を掛けられたり、差し出した名刺を目の前で破り捨てられることもあったそうです。社員さんの心は荒んで、会社に帰ってくると鞄を投げつけイスを蹴飛ばす姿がありました。そんな社員の荒んだ心を癒やそうと、鍵山さんは会社のトイレ掃除に力を入れました。朝、会社に行くと毎日トイレ掃除をしたそうです。

 銀行の担当者から「そんなことをしていたら経営がなりたたない」とバカにされたこともありました。鍵山さんは、「何度やめようと迷ったかしれません。それでも何とか続けてこられたのは、自分がやっていることの価値を見失わなかったからです。自分が取り組んでいるこの掃除は、心の荒みをなくし、穏やかにすることに役立っていると確信していたから、続けてこられたのだと思います」と話しています。

 鍵山さんはもうイエローハットの社長さんではありませんが、日本を美しくする会「掃除に学ぶ会」の副会長さんとして活動をしています。公共施設だけでなく、多くの学校に行ってトイレ掃除をしています。鍵山さんは、便器の中もゴム手袋は一切使わず、素手で掃除をします。児童も一緒に掃除をするのですが、始めはいやがっていた人も、だんだん本気になってきて、しまいには「自分のトイレがきれいになった」とすごく嬉しくなるそうです。

 さて、鍵山さんはもうイエローハットの社長さんではなく、社員さんを元気づける必要はないのに、どうして学校まで行ってトイレ掃除をするのでしょうか。予想してみてください。

 鍵山さんは、トイレ掃除を大切にする理由をこんなふうに言っています。

 ①謙虚な人になる 

  どんなに才能があっても、傲慢な人は人を幸せにすることができません。人間の第一条件は、まず謙虚であること。謙虚になるための確実で一番の近道がトイレ掃除です。(謙虚の意味は、いばらないってことです。素直に人の意見などを受け入れることです。)

 ②気づくひとになれる

   世の中で成果をあげる人とそうでない人の差は、無駄があるかないかです。無駄をなくすためには、気づく人になることが大切です。その「気づき」をもっとも引き出してくれるのがトイレ掃除です

 ③感動の心を育む

  感動こそ人生。できれば人を感動させるような生き方をしたい。人が人に感動するのは、その人が手と足と体を使い、さらに身を低くして一生懸命取り組んでいる姿に感動します。特に、人のいやがるトイレ掃除は最高の実践道場です。

 ④ 感謝の心が芽生える

  人は幸せだから感謝するのではありません。感謝するから幸せになれるのです。その点、トイレ掃除をしていると、小さなことにも感謝できる感受性豊かな人間になれるのです。

 ⑤ 心を磨く

   心をとりだして磨くわけにいかないので、目の前に見えるところを磨くのです。特に、人のいやがるトイレをきれいにすると、心も美しくなります。人は、いつも見ているものに心も似てくるのです。

(NPO法人日本を美しくする会 掃除に学ぶ会HP「心を磨くトイレ掃除」より)

 鍵山さんがトイレ掃除を大切にしているのは、誰かのためにというよりも、自分の成長のためのようです。掃除がしっかりできるかできないかは、環境だけでなく心の美しさにも影響するのです。自分の心を磨くために掃除をしているのですね。

 では、始めの問題に戻ります。どうして本原小学校では黙って掃除をするのでしょうか。それは、楽しくおしゃべりしながら掃除をしても、心は掃除に向かずおしゃべりに向いてしまい、本気で掃除ができないからだと思います。本気で掃除に取り組むため、黙って掃除をするのです。それが、自分の心を磨くことにつながるのです。無言清掃をする理由は、他にもあるかもしれません。皆さんの考えがあれば、ぜひ教えてください。

 本原小学校の子どもたちが、掃除の重要さに気がつき、毎日の掃除を通して、自分の心をピカピカに磨くことができるように応援しています。私も無言清掃をがんばります。みんなで一緒に心を磨いていきましょう。

 

 明日から、年末年始休業です。ケガや事故のないように、安全・健康・健全な11日にしてください。合言葉は?「AKK11」ですね。家の掃除やお手伝いもしっかりして、よいお休みにしましょう。3学期の始まりにはまた、元気に登校してきてください。