2009年5月13日(水) 第2回校長講話

第2回の校長講和では、「極楽と地獄」についての

お話でした。

 

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 早いもので、もう5月の半ばになりました。暦の上(カレンダー)では、もう先日の5月5日・こどもの日には「立夏(りっか)」といって、その日から夏になりましたよ、という日でした。

  先日、春の遠足も終わりましたね。1年生も学校にすっかり慣れてきましたし、クラス替えのあった学級も新しいお友達ができたり、またそれぞれのクラスでは学級目標やいろいろな学級の係、そして約束ごとなども決めたりして、いよいよ充実したよいクラスにしていく時期にもなりました。

  さー、そこで素晴らしいよいクラスにしていくためには、どのようにしていったらよいか、今日の校長先生のお話を聞いてみんなで考えてみましょう。

 

 今日のお話は「地獄と極楽」というお話です。ちょっと怖いような題名ですが、昔から言い伝えられてきたお話なので、本当かどうかわかりませんが、どんなお話かよーく聞いていてください。

 

 

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「地獄」って何でしょう?「極楽」ってなんでしょう?大きなお兄さん・お姉さんは分かると思いますが、昔から人が亡くなると、悪いことをすればエンマ様のいる地獄へ落ちて苦しむ所、逆によいことをした人は、大変楽しくて平和な極楽という所に行くと言われていました。

 ある時、一人の青年が突然息が止まって亡くなってしまいました。その人は、地獄か極楽へ行くか迷っていましたが、昔ちょっと悪いことをしたので、エンマ様のいる地獄へ行くことになりました。地獄の役所の入り口まで行くと、そこにエンマ様がいてエンマ様が、こう言いました。「お前の名前の書かれた伝票がまだ来ていないので、地獄で引き取るわけにはいかない。もう一度、世の中へ戻れ。」と言ったのです。青年は「これは有り難い。」と思って、地獄の役所を出ました。出て当たりを見回すと、そこには人間が亡くなってから行く見本市というのが開かれていました。「地獄館」とか「極楽館」、「饑餓道館(飢えと渇きで苦しむ所)」などの建物が並んでいました。青年は、せっかくここまで来たのだから、ちょっとそれらの建物の中を見物していこうと考えました。

 はじめに「地獄館」という所へ行ってみました。中に入ると、赤鬼や青鬼が亡くなった人を火あぶりにしたり、ムチで叩いたりしていると思ったら、そうではなく、赤鬼や青鬼などいなく、こざっぱりしたテーブルの上にたくさんの中華料理のごちそうが並べれていました。「はてな?地獄館というけれど全然違うではないか。」と思いながら、テーブルの周りに座っている人たちを見回しました。すると、みんな青白い顔をして、骨と皮ばかりにやせて、目も落ち込んで哀れな姿をしていました。「みんな目の前にごちそうがあるのに、どうして食べないのかなー?」と思ってよく見ると、その人たちの左手はイスに縛り付けられ、右手には1m以上もある大きなサジが縛り付けられていました。「あのサジですくってごちそうを食べればいいのに。」と思って見ていると、その人たちは、我先にと欲をかいて遠い所までサジ伸ばしてごちそうをすくって口に運ぼうとしていましたが、サジが長くて口には届きません。また、お互いにケンカもしているので全然食べることができないので、骨と皮だけになってしまっているのです。「なるほどな。これだから地獄なんだな。」と納得ししました。

 青年は、地獄のことが分かったので、今度は「極楽館」へ行ってみました。極楽と言うから観音様とか天女でもいるかと思ったら、そんな人はいません。やはり地獄と同じようにテーブルの上には料理がたくさんあり、イスにもたくさんの人が座っていました。「地獄館と同じじゃないか」と思ってよく見ると、こちらの人たちはみんな顔色もよく、ニコニコ笑いながら「ありがたや、ありがたや」と歌を歌っているのです。これは確かに極楽だなと思って、よく見ると、左手がイスに縛られ、右手にも1mもある長いサジが縛り付けられていました。しかし、その長いサジでごちそうをすくっては「はい、どうぞ。お食べください。」と言って向かい側の人に食べさせているではありませんか。すると、向こう側の人もこちらに「はい、どうぞ。」と言ってごちそうをくださるから「いただきます。」と言って食べることができているではありませんか。

 「なるほどなー。地獄と極楽との違いは、こうだったんだな。自分だけが食べることしか考えない人たちが集まると、この世は地獄になってしまい、相手のことを大事にして先に食べてもらうことを考えていけば、この世は極楽になるんだな。地獄と極楽の違いはこうだったんだ。」と気がついて、はたと手を叩いたとたん目が覚めて現実の世界に戻ってきました。というお話です。

 

 どうでしたか?このお話から、自分はどのような考えを持ち、どのように行動したらよいでしょうか?教室へ帰ってみんなで話し合ったり、感想を書いたりしてみましょう。

 

 最初にお話したように、クラスもいろいろ決って、みんなでよいクラスにしようとしているとき、皆さんは自分のクラスを地獄にするのか極楽にするのか、決めるのは皆さん一人一人なんですね。もっと広く考えれば、西小学校を悪くする地獄か、よくする極楽かになることなんですね。極楽に近づけば、学校や学級はますます素晴らしくなるし、みんなと楽しく生活やお勉強ができるはずです。そんな極楽になるよう先生方とお友達と一緒に力を合わせて頑張りましょう。

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