2020年9月17日(木) 「縁(えにし)の瓦」里帰り式

「縁(えにし)の瓦」
9月17日(木)に、信濃教育会会長の武田育夫先生が来校され、「縁の瓦の里帰り式」が行われました。IMG_3032.JPGIMG_3034.JPGIMG_3037.JPGIMG_3041.JPG
「豊殿中学校」と書かれていますが、第五中学校は神科中学校と豊殿中学校が統合されて、いまの第五中学校となりましたので、まさに第五中学校の前身にあたるゆかりの瓦です
この瓦は奈良の薬師寺の国宝三重塔(東塔)の屋根に使われていたもので、平成21年からの解体大修理中に瓦を取り外したところ、そこに長野県の学校名が書かれているものが見つかった中の1枚です。
東塔全体に使われている瓦の総枚数は約33600枚、そのう       豊殿中学校の瓦
ち名前が書かれていた瓦が約4800枚、さらにそのうち学校名が書かれていたもののが345枚あり、そのすべてが長野県の小中高等学校のものでありました。このことから全国で唯一長野県の学校だけが東塔の修理に寄進をしたことがわかります。
なぜ長野県の学校だけに依頼したのか、それは「修学旅行にたくさんきてくれる長野県の学校の生徒の見学態度が大変よく、礼儀も正しい。」「法隆寺の金堂の柱も長野県木曽産の良材による。」という理由からでした。全国の中で長野県の学校だけに寄進を依頼したことがわかりました。依頼があった当時は、太平洋戦争後まだ数年しかたっておらず、それぞれが苦しい生活をしている中から生み出した寄進であったようです。趣意書には「貴県のお国の名物であるリンゴ1個に値するご預金を貴県児童生徒にお願いしたい」と書かれていました。大切なお金をみんなで集めて、寄進をした様子がうかがえます。
全国に数ある県の中から、長野県を指名して依頼してくれたことのみならず、その中に私たちの先輩方も寄進をしているという事実。とても誇らしく感じるとともに縁(えにし)を感じます。
今回の修理で345枚の学校名の入った瓦の内、最初に里帰りをした瓦は126枚でした。里帰りしなかったまだ使える瓦219枚を再び薬師寺東塔の屋根の上にのせようとしていたところ、最終的に屋根の勾配の関係などでのせられなかった57枚が追加で里帰りすることになりました。その中の1枚がこの「豊殿中学校」の瓦です。
そして、また再び屋根にのせられた瓦の中には、もう1枚「神科中学校」の瓦が含まれています。この地域全体で薬師寺東塔の再建に心を寄せて、寄進していたことがわかります。うれしい限りです。地域の先輩の方がのお心に感謝です。
次に薬師寺に行ったとき、東塔の屋根の上にのっている瓦の中の1枚にみなさんの先輩方が苦しい生活の中から大切な大切なお金を送って寄進して瓦があることを思いながら、ぜひ見学してきてほしいと思います。縁(えにし)を感じながら・・・