2011年3月 2日(水) 校長講話 「清掃」をとおして心をみがく ~シュリハンドク~

 3月2日(水)、本年度最後の校長講話がありました。三学期の終わりの清掃をしっかりときれいにしてこの平成22年度を締めくくってほしいと願い、以下のようなお話をしました。

 

      「清掃」を通して心をみがく  ~シュリハンドク~

 

kouwa 1.jpg 昨日から3月に入り、学校に来るのもあとわずかになりましたね。
 今日のお話は「お掃除」のことについてお話したいと思います。昨日、3年生以上の皆さんはわかりますが、児童総会が行われました。校長先生からは、感謝状をいただいたことと、お掃除のことについてお話しました。校長室や職員室のあたりは、黙って静かにお掃除をしていますが、校舎を回ってみると、"う~ん"と首をかしげるような・・・、そんなお話しをしました。
 3学期始業式の時にも校長先生から「凡事徹底」というお話の中で、「当たり前のことを当たり前にやろうよ」というお話で、具体的に3つのことについてお話しました。その1つに「おそうじ」のことをお願いしました。
 みなさんの中には、「本気になって一生懸命におそうじを」している、また「黙っておそうじを」している人が何人かいます。黙っておそうじをすることを、難しい言葉で「無言清掃」と言います。なぜ「いっしょうけんめいにやる」とか「無言清掃」が大事なのか、今日はそんな「おそうじ」に関わったお話をしたいと思います。

 

kouwa 2 .jpg むかしむかし、2500年ほど前のお話です。インドという国にいたお釈迦様の弟子に「シュリハンドク」という名前のお坊さんがいました。このお坊さんは、物覚えが悪く、朝聞いたことでも夜になるともう忘れてしまうというお坊さんです。自分の名前も覚えられなくて、背中に自分の名前を書いてもらい、人から名前を聞かれると背中を見せて教えているというのです。ですから、他の人からはちょっと小バカにされていました。シュリハンドクはそういう自分が情けなくなって、ある時、お釈迦様の所へ行って「私は、もう坊さんをやめたいです」と相談しました。するとお釈迦様は「何も心配することはいらない。」と言って、彼に1本の竹ホウキを渡して、「これできれいにしましょう。」という言葉だけを教えたのです。

 


kouwa 3.jpg シュリハンドクは、それから何年も、その言葉だけを繰り返しながらおそうじをし続けました。ある日、いつものように庭そうじをしていると、お釈迦様が来て、「ずいぶんきれいになったね。だけど1ヶ所だけ汚い所があるよ。」と声をかけてきたのです。そこで、シュリハンドクは不思議に思い、「お釈迦様、どこが汚いのでしょう?」と尋ねましたが、教えてくれませんでした。「はて、どこなんだろう?」と思いながら、それからもずーっと「もっときれいにしよう。」と言いながらおそうじを続けたのです。


kouwa 4.jpg 数年たったある日、シュリハンドクは、"はたっ"と気がついたのです。「そうか、汚れていたのは、場所のことではなく『自分の心の汚れ』だったのか」と気がついたのです。その時、お釈迦様はシュリハンドクの後ろに立っていて「これで全部きれいになりましたね。」と言ってくれたのです。心の中の汚れとは「そうじがイヤだとか、さぼりたい、もっと楽をしたい、おしゃべりしながらやりたい」とか、「人をバカにしたり、威張りたい」などという心を捨てなさいということに気がついたのです。
 お釈迦様の教えがわかったシュリハンドクは、ますますおそうじに精を出し、人々から逆に尊敬される立派なお坊さんになったのです。そして、やがて年をとり多くの人々から惜しまれながら亡くなりました。

 

kouwa 5.jpg 今日は、おそうじにちなんだシュリハンドクというお坊さんのお話をしました。おそうじを一生懸命に、しかも黙って行うことが、もちろんその場所をきれいにすることなんですが、実は「自分の心をきれいにする」ということだったんですね。そういう心が実は将来、皆さんが大きくなる時にどうしても大事になってくることなんです。
 3学期もあとわずかです。6年生にとっては6年間磨いてきた思い出の校舎ですし、17日には学校で最も大事な「卒業式」があります。全校の皆さんは、6年生のために心を込めてきれいな校舎で卒業式を向かえてもらうようしたいですね。そのためにも、今日のシュリハンドクのように「黙って一生懸命にそうじをする」、と同時に「自分の心を磨き」すべての皆さんが立派な中央小学校の子どもとして3学期を、そして22年度を締めくくってほしいと願っています。
 
 今日からのおそうじで「一生懸命」「無言清掃」そして「心をみがく」、そのようなおそうじにするには、自分としてどのようにすればいいのか、クラスで話し合って取り組んでみましょう。校長先生は期待していますし、また校舎を回ってみたいと思います。