2014年4月 4日(金) 校章

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 モイワナズナの白い花を二つ重ねて、その上に蛍が三匹向き合っている図柄である。北海道の藻岩山(もいわやま;札幌市郊外)で発見されたナズナであって、道内やサハリンに分布しているが、塩尻村の岩鼻にも自生していることが大正13年(1924)に確認された。 今のところ本州ではここが唯一の生育地であると考えられる。日当りのよい岩鼻では四月上旬に白い十字の花をつけるが、昔は下を通る国道からも見えたという。現在、天然記念物(県指定)として守られてる。
  蛍については江戸時代、塩尻の蛍合戦として有名であり、近郷の人々が大勢見に来たという。堀越用水、枡網用水、欠口用水、さらにその支流と水路が多く、蛍が幼虫時に食するカワニナという小さな巻き貝が生息するのに適した環境であったからであろう。 一時絶えたかと思われたが、再び下塩尻の五輪塔近くをはじめあちこちで蛍が飛び交うようになった。 川が以前の美しさをとりもどし、同時に往時を偲ぶことができるようになったことは喜ばしいことである。 蛍については、約1600年の昔、晋の車胤(しゃいん)が蛍を集めて、その光で書を読んだという故事がある。
  このように本校の校章には、絶壁の岩鼻のような厳しい自然条件の下でも負けずに根をはって育っているモイワナズナのように「たくましい子ども達に」、また蛍の光を集めてさえも学んだ車胤のように「自ら求めて学び励む子どもに」という塩尻の人々の熱い期待が込められているのである。 この地ならではのすばらしい校章なのである。

<昭和39年(1964)制定>