2012年12月27日(木) 2012年 12月 27日 2学期終業式でのお話

2012年度(平成24年度) 上田市立第四中学校 2学期 終業式


 8月22日に始まった2学期もいよいよ今日が最終日です。夏、秋、冬と三つの季節が含まれる長い学期でしたが、皆さんは様々な体験を通し多くの人と出会い、そして自分を見つめ直し、本校の合言葉である「優しさ」と「豊かさ」と「逞しさ」を身につけ、来るべき2013年(平成25年)に向かって、今気持ちを新たにしていることと思います。

 そんな皆さんに多くの期待をしながら、今年の結びの話をしたいと思います。

 さて、今年2012年(平成24年)を振り返ってみると、様々なことが浮かび上がってくることと思います。皆さんはどんな出来事が思い浮かぶでしょうか。日本人が世界で活躍と言えば、7月末から8月上旬に開かれたロンドンオリンピックがすぐに思い浮かぶと思います。金銀銅メダルの合計が38個と日本のオリンピック史上最も多いメダルを手に入れたこと。そして今大会の大きな特徴は、個人競技よりチームで臨んだ競技の活躍が目立ちました。男子では体操、フェンシング、女子では、サッカー、卓球、バレーボール、アーチェリーが団体としてメダルを獲得しました。東日本大震災後、そして今も盛んに使われている「絆」という言葉が現実となりました。

 さらに10月に京都大学の山中伸弥教授にノーベル医学生理学賞が与えられることが発表されたこと。人間の皮膚などの体細胞から、様々な細胞になる可能性を持ったiPS細胞を作り出すことに成功したことが人類の将来に役立つと高く評価されました。

 東日本大震災に関わる出来事もありました。5月5日子どもの日に、日本にある原子力発電所の50基の原子炉の活動が、検査のためすべて停止されました。その後約2ヶ月間、原発ゼロ状態が続きました。もう一つ東日本大震災の関係で、これはほとんどニュースにならなかったのですが、巨大地震や津波の発生の原因を研究調査するために東北宮城県沖の海底に、探査船「ちきゅう」が巨大なドリルで穴を開けました。海面からドリルが進んだ長さは7740m。この長さは世界記録となったようです。改めて日本の宇宙開発だけでなく、地球内部に向けた研究と技術力の高さに感心させられました。

 そして何と言っても記憶に深く刻み込まれているのは5月21日の朝7時30分前後に起こった出来事でしょう。何が起こったか、思い出せますか。月によって隠された太陽がリングのように見える「金環日食」です。当日多くの生徒諸君が朝早く登校し、その瞬間を待ち、そして感動の出来事を迎えたと思います。天候にも恵まれ本当にすばらしい条件のもとほぼ「金環日食」に近い宇宙の出来事を観測できとことは、生涯の思い出となることでしょう。今回、残念ながら「金環日食」を見逃してしまった人は、どうか18年後の2030年6月1日、北海道に出かけ感動を味わってください。君達が31歳~33歳になる頃です。

 話しの内容が天体のことに進みましたが、このまま宇宙の話しを続けます。先週の21日は冬至の日(この時期は昼間の時間が9時間ちょっとしかありません。)。太陽は日本から遠く離れた南半球の南回帰線に到達し、その冬至の日を過ぎると、太陽が地球を真上から照らす位置が少しずつ北に向かっていきます。この宇宙の現象は実感として分かりづらいですが、古くから「日が長くなった(あるいは短くなった)」という言い方で私たちは納得してきました。つまり夕方暗くなる時間がだんだん遅くなるという実感です。21日の冬至の日から6日経ちました。夕暮れが遅くなり日が長くなっているのですが、夕方5時過ぎにはもう真っ暗になり、あまり実感がわきません。それは大変ゆっくりしたペースで日が長くなっているからです。昔の人はこのゆっくりした変化を「米粒一個ずつ日が長くなっている」と表現していました。すごい例えだと感心してしまいます。日が長くなったという実感は、およそ1ヶ月後まで待たなければなりません。今日の話しを覚えていたら、今の夕方5時の暗さと、1月の終わり頃の夕方5時の明るさを比べ日が長くなった実感をぜひ味わってください。

 真冬のこの時期、月がない夜は一年中で一番天体観察の条件が良い時です。是非オリオン座やおおいぬ座を眺め、自然の雄大さを感じ、夕暮れ時には「米粒一個」と言い表した昔の人の感じ方を自分でも感じ取ってみて下さい。

 この1年の様々な出来事を思い出しながら、すこしゆとりのある冬休み、夜空を、夕暮れを、眺め、雄大な自然と向き合う時間を作ってみましょう。

 それでは健康でよいお歳をお迎え下さい。